第25回日本バーチャルリアリティ学会大会OS「触覚若手の会ーこれまでとこれから」

第25回日本バーチャルリアリティ学会大会OS「触覚若手の会ーこれまでとこれから」は終了しました! 今後とも触覚若手の会をよろしく願いします!!


Updates ・2020年9月23日(水):OSのビデオ,事後報告(アンケート結果含む)を追加
・2020年9月3日(木):OSの詳細を追加
・2020年7月31日(金):ウェブページ公開

本記事では2020年9月17日(木)に日本バーチャルリアリティ学会大会で行われたハプティクス研究委員会OS「触覚若手の会-これまでとこれから」について紹介しています.当日は触覚若手の会の幹事に加えて,過去の類似の若手の集いである「皮膚ラボ」と「触覚勉強会」の元幹事である梶本先生(電気通信大学)と岡本先生(名古屋大学)にもご登壇いただきました.大変好評であったことと,今後の触覚若手の会を含む類似の若手の集いを運営される幹事の方のために,OSで得られた知見や苦労話を拙い文章で恐縮ですが報告させていただきます.

ビデオ


事後報告

執筆者:「えーと」が多いOSの座長を務めた蜂須 拓(筑波大学

新型コロナウィルス感染拡大防止のためオンライン開催となった第25会日本バーチャルリアリティ学会において,2020年9月17日にハプティクス研究委員会OS「触覚若手の会-これまでとこれから」を行いました.学会2日目の朝一番のセッションであったにもかかわらず,最大で約60名程度の参加者数を記録したことからも大盛況であったと思います.まずはじめにご登壇いただいた梶本先生,岡本先生,OSの開催をサポートいただいたハプティクス研究委員会の皆様,日本バーチャルリアリティ学会の皆様,そして触覚若手の会の皆様に感謝致します,ありがとうございました!

OSでは,まず石塚先生と永野先生から触覚若手の会の発足の経緯とこれまでの活動についてご紹介いただきました.詳細は本ブログの他の記事にも載っているとおりですが,美しくまとめていただいたのと,今後の似た活動の参考になればと思いますので講演資料を共有させていただきます.4年間で10回もの集会を行ってきたのだなぁと幹事ながら感じました.

次に梶本先生より皮膚ラボについてご紹介いただきました.皮膚ラボが発足したのは2001年で,当時の触覚研究の動向から当時主に東京大学に集中していた若手触覚研究者が中心となって皮膚ラボを結成した経緯をお話しいただきました.当初は主に参加者(≒幹事)が話したいことを話すという場でしたが,徐々に幹事が指導者的立場となり,自身の指導学生に研究発表させる場になっていった遷移についてご説明いただきました.最終的に2011年に公式な活動を終了することになった理由の一つがこれで,大体の機能は学会OSや研究会で代替されていくことになりました.

続いて岡本先生(名古屋大学)から触覚勉強会についてご紹介いただきました.2011年に,博士修了したての岡本先生や橋本先生(当時大阪大学,現筑波大学)らによって触覚勉強会が結成されます.工学を背景にもった当時の若手触覚研究者が学際的研究領域である触覚研究で世界に挑むために,主に触覚の心理学や生理学に関する書籍の輪読が行われていました.皮膚ラボがなくなり,触覚に関する国内研究会や学会OSが増えてきた時代ではありましたが,研究室活動と学会活動との隙間的集いにやはり需要があるのだなと思いました.また,今の若手の会が主に発信力(プレゼン力)を勉強する点では触覚を中心に広い分野の人が参加できるのに対して,勉強会では専門的な書籍を輪読するという点で,触覚を中心に深い部分を学びたい人が参加されていたという違いがありました.最終的に大規模になった皮膚ラボとも比較すると,触覚勉強会は小規模ではありましたがその分,狭い部分に迫ったりと小回りが効いたという印象です.

パネルディスカッションでは主に,持続可能な若手の会の運営方法について議論がありました.個人的には研究会未満かつ研究室以上の組織として如何に参加者(特に運営を行っている幹事)に利点のある活動をするか,規模の大きさや活動内容に関する議論が大変興味深かったです.前者は梶本先生のお話の延長線上でもあり,やはり幹事に利点がなくなった時が代替わりのタイミングかと思いました.もちろん必要であれば放っておいても後継が新しい若手の会を組織するのだと思いますが,やはりある程度の運営に関する引き継ぎが必要であり,活動をアーカイブ化することが重要ではという議論がありました.その点では今回のOSは触覚若手の会のみならず,皮膚ラボや触覚勉強会についても良い機会であったと思います.後者は岡本先生のお話の延長線上でもあり,触覚を中心にすることを前提として,特定のトピックを深く掘り下げるか,あるいは他分野の人も参加可能なようにトピックを広く取るかという議論でした.規模の大きさにも依存しますが,今後は集会ごとに人が集まりやすい時(学会大会の前日)と集まりにくい時(研究会の前日)の違いを利用した活動内容の検討が必要かと感じました.

私自身もそろそろ主観的にも若手と言いにくい年齢になりつつあることからも,本OSが聴講されていた学生や次期触覚若手の会幹事を含む次世代の若手研究者が持続的で有意義な集いをもつことの一助となれば幸いです.

アンケート結果

今回のOS開催にあたって触覚若手の会の会員(既に大学を卒業した人を含む)を対象に触覚研究および触覚若手の会に対する匿名での意識調査を行いました.36名の回答がありました.現在触覚若手の会の会員数が71名であることを考えるとかなり良い回答率であったと思います.ご協力いただいた方には感謝申し上げます,ありがとうございました!

問1

圧倒的に学生が多いですね.卒業生にも何名か回答していただいています.

問2
圧倒的にヒューマンインタフェース・インタラクションが多いです.若手の会自体が主に日本バーチャルリアリティ学会や計測自動制御学会SI部門,Robomechを軸に活動しているので納得ですね.触覚は学際的分野ですので,今後心理学やデザイン学等の他分野の人が増えると面白そうですね.

問3,問4,問5(それぞれ,1:そう思わない ー 5:とても思う)
個人的には一番おもしろい結果でした.大多数の人は触覚研究に面白さを感じている一方で,社会の役に立つか,就職活動で有利かと聞かれると少し回答が左にシフトしていきます.5年後,10年後も同様の質問の結果を見てみたいです.

問6,7(それぞれ,1:そう思わない ー 5:とても思う)
触覚若手の会で交流が広がったと思う人が多数派ですね.また役に立っていると思う人も多数派です.

問8
規模に関しては小さくして欲しいという人はいなかった一方で,拡大したい派と現状維持派が半々でした.

問9
現在紹介制のシステムを採用しているので,そのとおりの結果かと思います.

他にも「触覚若手の会に参加して有意義であったと思うことを教えてください.」「今後若手の会の活動に継続的に参加するために必要だと思うことを教えてください.」「その他にご意見があればお願いします.」といったオープンクエッションを尋ねさせていただき,たくさんのコメントを頂きました.回答の掲載は割愛しますが,幹事団で楽しくかつ真剣に読ませていただき,今後の活動の参考にさせていただきます(OSにおいてもいくつかパネルディスカッションのトピックにさせていただきました).

開催概要

2020年9月16-18日に開催される第25回日本バーチャルリアリティ学会大会のオーガナイズドセッションで「触覚若手の会ーこれまでとこれから」というタイトルで触覚若手の会幹事団(蜂須,石塚,永野,ヤェム)が講演とパネルディスカッションを行います!過去の類似の若手の触覚研究者の集いである皮膚ラボの幹事として梶本裕之先生(電気通信大学)と触覚勉強会の幹事として岡本正吾先生(名古屋大学)を招いてこれまでとこれからの若手触覚研究者の活動について語り合います.


日時:2020年9月17日(木)9:00-10:20
会場:オンライン開催
※聴講には事前の参加登録が必要です.詳しくは第25回バーチャルリアリティ学会大会のHPを御覧ください.
http://conference.vrsj.org/ac2020/submission.html

タイムテーブル

9:00-9:05    オープニング                       ヤェム
9:05-9:20    触覚若手の会紹介(トーク)  石塚 9:20-9:25    触覚若手の会紹介(質疑)     石塚&永野 9:25-9:35    皮膚ラボ紹介(トーク)        梶本 9:35-9:40    皮膚ラボ紹介(質疑)           梶本 9:40-9:50    勉強会紹介(トーク)           岡本 9:50-9:55    勉強会紹介(質疑)             岡本 9:55-10:20  パネルディスカッション        蜂須
 
※敬称略

アブストラクト

触覚若手の会とは,2016年3月に発足した(主観的に)若手を中心とした触覚研究者の集いである.これまでに若手の技術・知識の向上,若手間の情報交換・交流の充実,そして共同研究の可能性を探ることを目的に,4年間で10回ほどの集会を行ってきた.本OSでは,まず触覚若手の会幹事団が発足経緯,目的,これまでの活動(触覚系国際会議勉強会,イントロ勉強会等)を講演形式で紹介する.次に,過去の若手触覚研究者の集いである皮膚ラボおよび触覚勉強会の元幹事を招き,それぞれが発足経緯,目的,活動について紹介する.最後にOS聴講者とともに,今後の触覚若手の会の活動をより有意義にすべくパネルディスカッションを行う.

登壇者

敬称略
蜂須拓(筑波大学) 梶本裕之(電気通信大学) 岡本正吾(名古屋大学) 石塚裕己(大阪大学) 永野光(神戸大学) ヤェムヴィボル(東京都立大学)

オーガナイザ

蜂須 拓(筑波大学) 石塚 裕己(大阪大学) 永野 光(神戸大学) ヤェム ヴィボル(東京都立大学)

主催

日本バーチャルリアリティ学会
日本バーチャルリアリティ学会ハプティクス研究委員会

コメント

このブログの人気の投稿

触覚若手の会×ろぼやん交流会 in ROBOMECH 2023

触覚若手の会 第18回集会 World Haptics Conference (WHC) 2023勉強会@オンライン会議

触覚若手の会 世代間ハプティクス交流会